金融機関の種類と違い
銀行も信用金庫も農協も、窓口やATMで預金(貯金)や振込ができる点では似ています。一方で、どんな法律に基づき、誰のための組織かが異なります。このページでは、振込や口座開設のときに迷いやすい種類の違いを、業界団体・公的機関の説明に沿って整理します。
出典の確認日: 2026-08-02。制度や資格要件は改正されることがあります。取引の可否や会員資格の詳細は、各金融機関の窓口・公式情報でご確認ください。
ひとことで言うと
- 銀行… 銀行法に基づく株式会社。株主への責任があり、取引相手に会員制度はない。
- 信用金庫・信用組合・労働金庫・農協など… 会員(組合員)の相互扶助を目的とする協同組織。根拠法と会員の範囲がそれぞれ違う。
- 農協の金融… 農協そのものが「銀行」なのではなく、信用事業を JA・信連・農林中央金庫が一体で行う仕組み(JAバンク)がある。
銀行・信用金庫・信用組合・農協の比較
信用金庫・信用組合・銀行の比較は、全国信用金庫協会および全国信用組合中央協会の公式説明に基づきます。農協欄は、農業協同組合法に基づく総合事業のうち信用事業(JAバンク)としての位置づけです。
| 区分 | 銀行 | 信用金庫 | 信用組合 | 農協(信用事業) |
|---|---|---|---|---|
| 根拠法 | 銀行法 | 信用金庫法 | 中小企業等協同組合法、協同組合による金融事業に関する法律(協金法) | 農業協同組合法 |
| 組織 | 株式会社(営利法人) | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 組合員の出資による協同組織の非営利法人 | 組合員の出資による協同組合(金融以外の事業も含む総合事業) |
| 会員・組合員 | なし | 地区内の個人・事業者など(事業者は従業員300人以下または資本金9億円以下など) | 地区内の個人・小規模事業者など(事業者は従業員300人以下または資本金3億円以下など。業種によりさらに制限あり) | 農業者などを中心とする組合員(資格の詳細は各農協の定款) |
| 預金(貯金) | 制限なし | 制限なし | 原則組合員。例外として総預金額の20%まで員外預金が認められる | 信用事業として貯金などを取り扱う(呼称は「貯金」) |
| 融資(貸出) | 制限なし | 原則会員。制限つきで会員外貸出もできる(卒業生金融あり) | 原則組合員。制限つきで組合員外への貸出もできる(卒業生金融なし) | 信用事業として貸出などを取り扱う |
会員・組合員資格や員外取引の例外は、定款や法令の詳細に従います。表の数値は業界団体の公式比較表の記載に合わせています。
銀行
銀行は銀行法に基づく株式会社です。全国信用金庫協会の説明では、株主の利益が優先され、大企業を含む全国の企業等との取引が可能とされています。預金・融資ともに、会員制度による制限はありません。
都市銀行・地方銀行・信託銀行など、さらに細かい分類がありますが、いずれも銀行法上の銀行として、基本的な預金・為替・融資の枠組みを共有します。
信用金庫(信金)
信用金庫は信用金庫法に基づく協同組織の非営利法人です。地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とし、主な取引先は中小企業や個人です。営業地域は一定の地域に限定され、預かった資金はその地域の発展に生かされると説明されています。
預金の受入れに制限はありません。融資は原則として会員が対象ですが、制限つきで会員外への貸出もできます。銀行との最大の違いは、株式会社ではなく協同組織である点です。
信用組合(しんくみ)
信用組合は中小企業等協同組合法および協同組合による金融事業に関する法律(協金法)に基づく協同組織の非営利法人です。組合員の相互扶助を理念とし、組合員の経済的地位の向上を図ることを目的とします。
信用金庫と同じ協同組織ですが、根拠法や会員(組合員)資格が異なります。預金は原則として組合員が対象で、総預金額の20%まで員外預金が認められます。融資も原則組合員対象です。事業者の会員資格は、信用金庫より資本金などの上限が厳しい点が、業界団体の比較表でも示されています。
農協(JA)とJAバンク
農業協同組合(JA・農協)は農業協同組合法に基づく協同組合です。農林中央金庫の説明によれば、指導事業・経済事業・共済事業・信用事業など、さまざまな事業を総合的に行います。
いわゆる「農協の金融」は、そのうちの信用事業(貯金・貸出・為替など)です。「JAバンク」という名称の単一の銀行があるのではなく、JA・信用農業協同組合連合会(JA信農連)・農林中央金庫により構成され、実質的にひとつの金融機関として機能するグループの名称です。これらが一体的に事業運営する仕組みを「JAバンクシステム」と呼びます。
関連する種類
労働金庫(ろうきん)
労働金庫は労働金庫法に基づく協同組織の金融機関です。全国労働金庫協会の説明では、労働組合や生活協同組合などのはたらく仲間が資金を出し合ってつくった非営利の金融機関であり、はたらく人とその家族の福祉向上を目指すとされています。預金やローンなどの業務内容は一般の金融機関とほぼ同様ですが、組織の目的が協同組織としての相互扶助にある点が銀行と異なります。
漁業協同組合(漁協)とJFマリンバンク
漁業協同組合などは、農林中央金庫が説明する系統組織の一員として、信用事業を行う場合があります。農協の系統と同様に、市町村段階の漁協など、都道府県段階の信用漁業協同組合連合会、全国段階の農林中央金庫に至る信用事業の仕組みがあり、「JFマリンバンク」として一体的な事業運営が行われる旨が説明されています。貯金等の保護は、後述の貯金保険制度の対象となります。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は、会社概要上の業務内容が「銀行業」である株式会社です。2007年の民営化により現在の商号で開業し、全国の郵便局ネットワークを通じて個人向け金融サービスを提供しています。協同組織の農協・信金などとは組織形態が異なり、銀行としての枠組みに位置づけられます。
預金・貯金の保護制度
金融機関が破綻した場合などに備える保護制度は、業態によって運営主体が分かれます。
- 預金保険制度… 金融庁の説明によれば、決済用預金(当座預金や利息の付かない普通預金等)は全額保護、一般預金等は預金者1人あたり1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。対象には銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などが含まれます(預金保険機構が運営)。
- 貯金保険制度… 農水産業協同組合貯金保険機構の説明によれば、農協・漁協などの組合が破綻した場合に貯金者を保護する制度で、一般の金融機関の預金保険制度と同様の制度です。普通貯金・定期貯金等は貯金者1人につき1農協・漁協ごとに元本1,000万円までとその利息が保護され、当座貯金等の決済用貯金は全額保護されます。
保護の対象となる商品・対象外の商品(外貨預金・外貨貯金など)の詳細は、各公式資料をご確認ください。
出典・参考
本ページの記述は、次の一次情報に基づきます(確認日: 2026-08-02)。リンク先の内容が最新です。
- 信用金庫と銀行・信用組合との違い(一般社団法人全国信用金庫協会)
- 信用組合の特色(全国信用組合中央協会)
- 系統信用事業の現状と農林中央金庫の役割(農林中央金庫ディスクロージャー資料)
- ろうきんの理念・基本姿勢(一般社団法人全国労働金庫協会)
- 会社概要(株式会社ゆうちょ銀行)
- 預金保険制度(金融庁)
- 貯金保険制度の仕組み(農水産業協同組合貯金保険機構)
- 貯金保険制度のポイント一覧(農水産業協同組合貯金保険機構)
注意事項
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